1. HOME
  2. ブログ
  3. 100円寿司と数万円の高級寿司の違いは何ですか?

100円寿司と数万円の高級寿司の違いは何ですか?

Quoraに勝手に答えるシリーズ 第3弾

100円寿司と数万円の高級寿司の違いは何ですか?

https://qr.ae/pN9sBq

この質問、前に取り上げた『「銀座の超一流店の寿司と、北海道の漁港の寿司とではどっちが美味しいと思いますか?」https://qr.ae/pNWZZC』とよく似てます。

違うのは銀座の高級店の対戦相手が「北海道の漁港のすし屋」という「バリバリの美味新鮮ネタの宝庫にある寿司屋」から「場所はどこでもいいけど100円で寿司を売ってる安いお店」へとシフトチェンジしてきたところ。

あと「どちらが美味しいか」から「何が違うか」と微妙に勝負ポイントをずらしてきてるのも中々に巧妙です。

色んな寿司屋と対戦しないといけないので銀座の高級店も大変ですな、こちとら代々木上原でよかったわ。

で、「何がちがうの?」と。

何が違うか分からない時点で説明するのがエッレーー長くなりそうで答える前にちょびっと疲れを感じたりする質問です。

この質問をする方の殆どが、「天然ものと養殖ものの味の違いが分からない」とかいう共通点を持っていたりします。

何を食べても同じ味、なので「同じものを売っているのになぜこうも値段が違うのか」と疑問に思うのもまぁ分かります。

で、Quoraでも様々な回答が寄せられていて興味深いです。

『100円寿司はネタをそのまま出すが、高級店はひと手間かけているから高い』(要約)

--という事は手間代がのってる分高いと…ふむふむ。

『100円寿司はただ食べるところだが、高級寿司は他のお客様との(お金持ちどうしの)交流の場であり、ビジネスが生まれるところ。』(要約)

--交流の場を提供してるからショバ代よこせと、お見合いカフェか。

『100円寿司は高いネタは「買えなかった」と客に言えるが高級寿司は誰も食べなくても高い食材を買わなければならない』(要約)

--ロス分をお客様に請求しちゃうんだ…。なるほどねぇ。

まぁちょっと突っ込み入れてみましたが、少しずつ当たっていると思います。でも「ちょっと違う」というか「もう一息」というか、座りが悪い感があって軽く呼吸が乱れます。

「ひと手間かけてるだけで使ってる魚のレベルは同じなの?」

「出会いが必要ない人はどうなのよ。そんなコスト負担させんなよ(怒)」

「予約制・コースのみにすれば仕入れのロスなくね?現にそういう店ばかりだし」

とかね。

さっき「答えるのが長くなる」と書きました。

で、答えてみようと思います。

答え:全部が違います。

・・・。

終わりかよ!

「ながくねーじゃん」ってことですがやっぱりちょっと説明しますね。

全部が違うのは上の方の回答が違うのではないですよ。

100円寿司と高級寿司はですね

行きますよ

「ネタもシャリも海苔もワサビもお醤油もアルコールの種類とその管理も店構えも器類も酒器もおしぼりの材質も店内の空気もスタッフの教育レベルも職人の白衣の洗濯回数も内装に使ってる建築材料も、全部違う」

のです。

何一つとして妥協しないのが高級店です。

およそ全てのものが高品質なもので固められています。そして

「最高の食事を、そういう空気感のなかでいただきたい。」

というお客様が通っています。

『貧乏人と肩を並べて食事したくない』とは思っていないと思います絶対。

売る側も『いちいちカネのことを気にする貧乏人に合わせて食材をケチってたんじゃ本当に旨いものなんて出せない』なんて絶対思っていません天地神明に誓って。

因みにこれを書いてるあたくしがやってる鮨武はそんな超高級店ではありませんので私に文句言っても返事しません。

まぁ実際のところ、ビニールの壁紙に合板のカウンターで食べるのと、聚楽壁に木曽ヒノキのカウンターで食べるのでは価値が違うわけです。

ここいら辺の「ものの価値」って、払えない人々が負け惜しみで嘲笑してたうちはいいんだけど、最近はそれがすっかり定着しちゃって価値そのものが薄れてきた感がありますね。

価値あるものへの敬意が足りない以前に、価値そのものを知らない人が大半になってきてる気がするけどかんけーねーか、んーなこと今は。

魚もそう。

例えばマグロ一つとっても1貫の原価35円のマグロから800円(原価ですよ)のマグロまでその幅は20倍以上にもなるわけです。仕入れ値にしたら同じ10㎏のかたまりで片や2万円、片や50万円て話です。

「そんなの醤油とワサビ沢山付けたらどっちも味なんて変わらないでしょ」

と本気で思ってらっしゃる方もいて、それはその方には真実なので出過ぎた説明はしませんが、「これ、この味のマグロじゃなきゃ」と心底感動して高いお代を喜んで払われる方も実際に沢山いるわけです。

小肌というタネがあるけど、その扱いかたの繊細さは、厳しくやってる店では若手職人さんが緊張しまくる世界ですが、100円寿司は冷凍で真空パックの出来合いの小肌を、ビニールをバリっと破いて機械がつくったご飯の団子に乗せるだけ。

とにかく、全ての要素がまるで別の世界感でできています。

ちょいちょい適当なところで妥協して金だけ高いこと言ってるなんちゃって高級店もあるけどそこは長くなるからまたいつかね。

ここで一つ確認を。高級店が上で、100円寿司が下、と思ってるあなた、違いますよ。「商売の型」が違うだけ。

ましてあなたが高級店のスタッフならその傲慢さは捨てた方がいいかもね。色んな理由はあるにせよ、黙っててもお客様が高いお金を払ってくれる商売と、利益率1%アップに命を削る商売では厳しさと逞しさが全くちがうもの。

将来自分の店を持ちたいなら、高級店のスタッフも一度100円寿司の現場で働いてみるといいとさえ思う。パトロンの財政支援なしで利益を上げていくことがどれだけ厳しいかわかると思う。

まぁ小肌の例でも言ったけど、効率を高めるために寿司屋に必要なスキルをも放棄してしまう場面はあるにしても、それにつけても100円寿司、(べつに150円でもいいんだけど)、ものすごく頑張らないとそんな商売できません。そこで真摯に頑張ってる方には私は敬意を持っています。

『出来合いの魚をにぎりもしないで乗っけるだけだから簡単』かと言ったらそんなことはない。そりゃ、作業だけ見れば簡単だけど、それで商売をしていってることを見逃してはいけない。低い単価ですべての経費を出していくのは本当に大変な作業です。

ただし、飲食店の3大経費「人件費」「原価(まぁ食材費のこと)」「家賃」のうち、削れるのは実質食材費だけ。人件費削って利益出すと今はとたんに

「ブラック企業発見しました!ブラック企業発見です!!」

と、ネット上で物凄いことになっちゃうのでこれはもうできない。

どうしても食材を安く仕入れないといけないけど、そうすると「うまーーい!」物は中々難しいことは彼ら百も承知なのであって、仕方ないのでスイーツだのラーメンだので目先を変える作戦が目につきます。

こんなところも寿司好きからは「邪道」とか言われちゃうんだろうけど、実際にお客様が大挙して押しかけていて、商売として成り立ってるんだからチャチャいれんな。

忘れてはいけないのは、どちらも商売でやってる、ってこと。高級店ったって商売が立ち行かなくて店を潰し、スタッフや自分の家族の生活を守れないなんてことになったら、それって本当に「高級なのかよ」とちょっと思います。ちょっとね。

結局「何が違うか」という質問だけど。

『高級店は食材をはじめ全ての面で高い価値をお客さまに提供することを使命としていて、100円寿司はロープライスでいかにお客様を満足させられるかで勝負している』

ところでしょうか。その結果として商品のお寿司は大分違った型になってきますねということです。

ちなみに、「100円寿司でも高級寿司と変わらない(くらい美味しい)」とかたまに聞きますが

「んなわけねーだろ」と私が思うかは置いておいて

その方にとってはそうなんだから議論はしません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事