Quoraに密かに答えてみる
最近Quoraにはまっていて時間があると眺めてるんだけど、やっぱり気になってみてるのは「すし・寿司・鮨」などのトピック。ちょいちょいおもしろい質問が上がっていて、これにいろんな方が回答しているのだけど、「んなわけないでしょうが…。」とか「ああ、お客さんってやっぱりすごいなぁ」と思うこともあって飽きない。
で、自分からしゃしゃり出て「現場の感覚ではこうです」ってやるのもなんかアレだし、沢山の人の目に触れるQuoraに回答すると、やっぱり世間体とかいらん気遣いが発生して肩がこる。
対して自分のブログは潜水艦のごとく深く深く沈降して誰の目にも留まらないので好き勝手に書けるわけで、こっちに勝手に回答してみようと思ったわけです。
栄えある第一回目に選ばれたのがタイトルの質問
寿司屋で大将に「こいつ・・・只者じゃないな!?」と思わせる頼み方といったら、初手で何を頼むのがいいでしょうか?ある程度のリスクは覚悟しています。
もうね、質問自体が面白すぎて笑ってしまいました。すごい感覚ですねこれ。この質問をQuoraに上げてる時点であなたはすでに「只者じゃない人決定」です。
何がかって、鮨屋の大将(まあこの場合は私のことです)はお客様に対して
そんな視点は持っていません。
マンガの読みすぎです。
「只者じゃない」=「鮨屋慣れしている」と思ってほしい。んですよね。鮨屋に慣れていようと、初めてだろうと、私から見たら全て「お客さま」です。
あとね
「ある程度のリスクは覚悟しています」
て、いったい何のことですか!!!!?
リスク?鮨屋で食べるものを注文することで生じるリスクって・・・なに?
鮨屋どんだけ危険なんだよ。
危険?危機?投資で言う価値の上下動のようなもの?
鮨屋で食べたい鮨を注文するのにリスクはありませんよ。
ひょっとして「大とろを頼んだらすんげー高いこと言われて一気に財政危機」とかいうことなら、まぁリスクと言えばリスクなのか。。
だとしたらそれはあなたのお財布と利用する店の問題なので人に聞いても答えは出ないような気がしますけどもね。
とまぁ、質問自体が面白い、と言ってしまっては何の回答にもならないので、一応「ああ、このお客様は色んな鮨屋に行ってるんだな」と感じられる、「最初の一貫の注文の仕方」をお教えしますね。そんなのないけど実際は。
敢えて言うなら…。
「ネタケースを見て美味しそうな魚を注文する」
でしょうね多分。(魚をお客様に見せている店限定だけど。)
目の前に魚が並んでるのに「大将、今日は何がおすすめ?」ってその時点で達人指数減少曲線突入です。
季節だからってんで光が飛んだ(鮮度が落ちた目印です)秋刀魚を
「やっぱり旬だから秋刀魚から握って」なんてやってしまった日にゃ、
「ふふふ、さてはお主、鮨を理屈で覚えてるだけだな」とかつぶやかれちゃうもしれません。つぶやかないけど。
逆に、いい感じにこなれてる中とろをチラ見して
「それ、中とろ?うん、それ、握ってください」なんて来たら
これはもう「只者じゃない感」オーラがゆらゆらと出始めちゃう。
んで、「あー旨い、これ、同じのを鉄火巻にしてくれる?」なんていーじゃないですか。
そしてキメの一言。
「巻きの具合がいいですね」
これであなたの「鮨屋のカウンター達人レベル」は最高値をつけ、周囲のなんちゃって鮨通たちがコソコソと逃げていくこと間違いなしでしょう。
ひょっとしたら目の前の職人も
「この人、僕じゃ太刀打ちできない…」
と先輩を呼んできちゃうかも。。
マグロではなく、ここではあくまで「巻きの技術」をほめるわけ。
万一注文したマグロが養殖で、天然との味の違いが分からずに
「脂のってるねー」
なんてやっちゃうと状況は一瞬にして悪化します。
「ヨウショクなんで当たり前だよ、やっぱりわかってねーなこの人」となり
先輩板前はまた裏に行っちゃって、さっきの若手あんちゃんが出てきます。
っとまぁ、少々調子に乗ってしまいましたが重ねて言います。
へんに堅苦しく考えないでありのままでお鮨を楽しんでください。
お客様があまり形式にとらわれていたり、「こうあらねばならない」みたいに固まってると肩をもんであげたくなります。
何を最初に頼んでもOK。そこに上下や違反事項などないし、その方が鮨屋に慣れてないからと言って「別段なにも感じない」というのが本当のところです。
値段が書いてない店なら「〇〇は一個いくらですか?」と聞いてください(代々木上原の鮨武っていうお店は、メニューに全部値段が書いてるみたいですよ。)
それで高いと思ったら「ごめん、やめます」でいいんです。なんも恥ずかしくない。
それで白けた感を出すような無礼な鮨屋なら、こっちも3倍くらい白けてみせて、その後二度と行かなければいいし、板前に嫌味でも言われたら待ってましたとばかり
「うるせーカボチャ頭!」
と言ってあとは逃げてきましょう。
相手はつけ場の中だし、大抵は雪駄かサンダルなので追いかけてこられません。
ま、冗談はこの辺で。
今後もQuoraの質問に勝手に答えていくかもしれませんので話半分程度に聞き流してくださいませ。