ウニの養殖が盛んな町、浜中

昆布とウニの町、浜中町
(北海道南東部に位置する浜中町)

我々鮨屋にとっては養殖バフンウニの聖地との認識が強い浜中ですが、ファンにはルパン三世の生みの親、モンキーパンチさんの故郷としても有名ですね。
「町のいたるところにルパンの看板やポスターが…」
あったらしいです。気付かなかったけど。
映画「カリオストロの城」を1万回くらい見てる私としては是非またスタジオジプリと組んで新作を出して欲しいのだけどねぇ。どうも最近のルパンはもう一つ「入って」こない。。

(ルパンと浜中町のコラボイベントを宣伝するパンフレット抜粋。浜中町HPから。)

ウニ養殖の決め手は豊富な昆布にあり

「養殖」と聞くとブリやタイ、カンパチなんかがポピュラーでしょうか。海に作った生簀に撒いた高カロリーの人口飼料に、水しぶきを上げて魚が群がる様子を思い浮かべた人も多いと思います。浜中のウニの餌は天然の昆布。

町の種苗生産センターで親ウニから採卵、受精させ、なんだかよく分からない形態の幼生を経て大きさ数ミリの稚ウニにまで育成したウニが、各漁師に配られます。それを専用のカゴに地元産の天然昆布と共に閉じ込めて海に沈めるのが浜中のウニ養殖の流れです。

(エゾバフンウニの幼生、肉眼では見えない大きさだそう)

言葉で言うのは簡単だけど、実際には
『昆布の補充が大変だなも』(天然なので自分で捕ってくる、売ってない💦)
『網に付着する藻の掃除しだりさ』(藻が着くと水が淀んで全滅しちゃう💦)
『ウニが大きくなったら分散して入れ直すんだ』(ウニも窮屈は嫌い💦)
『もっど大きくなればカゴごと今度は沖へな』(稚ウニのうちは波が穏やかな港内で育てるんだ)
『沖へ移したら潮が速いから今度はカゴの中で転がって棘が折れて死んでしまうのさ。オレんとこは去年700個入れて300個しんでしまったよ』
『あっちの火散布(同じ浜中町のもう一つの港、ひちりっぷ、と読む)の方はさ、波は静かなんだけども、雨が降ったらあんた、水が薄まってやっぱり死んでしまうのさ』

確かに昆布は豊富だった

ここに来る途中、浜で昆布を干しているご夫婦がいたので話を聞いたところ、なんとこの昆布、朝浜で拾ってきたのだと。

「朝浜に行けばいぐらでも持ってこれるんだよう」と。
この界隈ではそれが普通だそうで、毎日せっせと浜から軽トラで昆布を運ぶのだとか。ウニの養殖を説明する役場の動画でも「沈めたカゴにもたくさんの昆布が成長します」というくだりがありました。

だが、豊富にとれる天然昆布のおかげで順風に見える浜中のウニ養殖も、結局は現地の漁師さんの頑張りでやっと繋がっているわけなんですね。
「700個入れて300個死ぬ」という言葉が印象に残りました。
因みに下の美しいウニ(写真は小川水産㈱さんのHPから 小川水産 株式会社)豊洲で一枚40,000円とか普通に値が付きます。お鮨1個にすると2000円くらいですね。

(ウニの加工業者は他に霧多布水産、木村水産、平川水産などが有名)

浜中を過ぎるとお隣は今日の宿泊地厚岸です。今日の走行距離400㎞。