堀江貴文さんが野口功司さんのYouTube番組で
「寿司屋はバカのための仕事だ」
という発言してまたまた炎上してるそうですね。

毎度ご苦労様なことです。
ただ、鮨屋を何十年もやってきた立場から言うと
正直「全然的外れだ」とは思わなかった、というのが本音なんですよ。

今の鮨職人はすぐに「匠」だの「伝統文化の継承者」なんて言われて結構ちやほやされてる感覚がありますな。大しいたことないあんちゃんでも、カネのかかった店舗で今風の白衣着て、後ろに使いもしないピカピカの包丁でも飾っておけば簡単に「気鋭の寿司職人」「名店」の出来上がり

でもってネットで有名な魚と入手困難な日本酒でも並べとけば結構な金額の商売できちゃう

そんな世の中なんだかから
「アタマ坊主にして10年修行なんてバカだぞ」
って言う見方もあながち見当外れでもないよなってね。


鮨屋も確かに勉強が苦手な人間の受け皿だった

自分が若い頃、そしてもっと前の時代を見ている先輩方の話を聞くと、
鮨屋に入ってくる人間の多くは

  • 勉強が嫌い
  • 学校が合わなかった
  • 家にお金がなかった
  • とにかく早く自立する必要があった

そんな人が多かった気がするしアタシだってまぁ大概そんなモンです。
堀江さんが話の対象にしてる簡単に稼げるスマートお鮨屋さんはいいけど
殆どの鮨屋は仰るとおり「バカが身体を使って稼い」でるんですよ


そこで鮨武が言いたい全く別のコトとは…

だから堀江さんの発言を聞いたとき、
自分の頭にまず浮かんだのは怒りでも反発でもなく、

「そうそう、だからさ……」

という感覚だった。

むしろ言いたくなったのは、こっちです、話は大きく変わります。
つまりですね…。

『だから鮨職人の労働時間は労働基準法から除外してくれ。』

これ。いきなり労働基準法へのイチャモンです(笑)

労働基準法の定めでは概ね一日の労働時間は8時間、一週間では40時間と定められています(各種例外を含む補助的な制度はここでは置いときます)
これってサラリーマンが週休二日、9時から17時で働くスタイルそのものでしょ。だけど法律では鮨屋もこの枠で労働させろ、って言ってるの。

アタシ達の仕事はね、早朝の仕入れから仕込み、掃除、昼夜の営業、片付け、翌日の段取りがあって、経営者ならこれに経理の仕事も入ってくる。

朝7時が仕入れだとして終わるのが11時なら休憩時間抜いたって15時間は働くわけでさ。
修行して自分の店出すってことはその時間感覚にも慣れなきゃいけない。
別にキツくもなんともないんですよ、そういう仕事なんだってだけ。

鮨屋の長時間労働を「キツい」なんて言うのはまさに修行が足りないってことでね。
プロ野球選手が「野球漬けでキツい」
山岳写真家が「山登りがキツい」
なんて言わないでしょ、それが仕事なんだから当たり前だし、その体力があってはじめて稼げるんでさ。

これはね「ブラック」か「ホワイト」か、という単純な話じゃないんです。
身体を使って技を積み上げる仕事の性質の問題なわけ。

それが分かってるから鮨武のスタッフは「もっと働きたい(実践を積む時間を増やしたい)」とたまに相談に来たりします。鮨武は週休二日制、労働時間も法律順守なのでどうしても経験を積む時間が少ないのが悩みなんです。


よく言ってくれました(笑)

堀江さんの言葉は乱暴ですね。
でも、現実をちゃんと突いてる部分もあります。

鮨屋は、誰にでもできる仕事じゃないという自覚というか誇りのような感覚はあります。
でも、世の中のどなたにでも意味がある仕事でもない。

そこを覚悟して身体を使える人間だけが、生き残れる世界です。

なので今回のまとめは
『長時間働いてしか技術と体力を習得できないバカなんだから好きにさせてくれないか』
でした。

堀江さんの発言を全肯定することで
法律にかみつく自分を正当化する高等テクニックを披露したところで
今回はおしまいです(笑)

(閉店後の漬け場でにぎりの練習をする新人の長尾くん。頑張れよ!)