堀江貴文氏が自身の動画配信ちゃんねる「ホリエモンチャンネル」で

「コロンビアに、今は全くない高級鮨店を出したい」という質問者への答えとして

「すし学校で半年くらいノウハウを学んで、現地の投資家と組んでやればいいんじゃない」

のように回答してますね。

堀江氏らしい切り口です。

見てる限り本人はかなり適当というかどうでもいい的に話してますが、ジャストインタイムな人には危ない意見なので少々補足。

半年間ガッコウでノウハウ学んだ程度の人間にカネを委ねるアホな投資家はいません。

運よく脇の甘い投資家と出会って話が進んだとして、店舗の間取り、動線を計算した備品の配置、仕入れルート、メニュー構成、現地での会計業務、スタッフの募集・教育・評価・給与額の調整、セレブ層への接客など、非常に多くのノウハウが必要です。

「寿司文化のないコロンビアならちょっとくらいダメでもなんとかなる」

と思っているなら確かにそんな面もあるかもしれません。でも文化は必ず発展します。ニセの仮面は遠からず剥がれ落ちるのです。

どんな国においても寿司は先ず高級品として入って行きます。その後寿司文化の定着と共に価格は下がり庶民のビジネスとして競争が始まります。競争は成長著しい地域ならものの2年くらいで完了し、その後は過当競争、飽和状態となっていくのです。

この質問者が言う「ブルーオーシャン」が今は本当だとしても、それはすぐに干上がるでしょう。

投資家だってバカじゃないので契約も長くは続きません。長くて2年、実力を見抜かれればあっという間に首のすげ替えが行われます。

その後どうしますか?

一番の問題点は運営の大変さに気付いていないところです。

堀江氏のいう「ノウハウ」とはおそらく、「店舗運営の数字管理」と、「寿司の技術」の二つを指しています。

店舗運営に必要な数字管理はハッキリ言って誰でも触れます。データさえ揃えればあとは公式に当てはめ、出た数字に対してジャッジし、必要なら策を打っていくだけです。まぁ上手く改善させられるかはまた別の問題ですが。。

一方、寿司の技術といっても所詮は人間の処理速度で転回されるものなので、穴が開くほど観察してすべてを文章に書きだせば、後は反復練習だけである程度までは(少なくともまだ鮨店がないというコロンビアなら)再現できるでしょう。この辺りも学校である程度まではやらせてもらえます。

彼が「半年でチャチャッとノウハウ覚えて…」と言っているのはこの辺のことをおさえて言っていると思われます。

しかし飲食店の運営のネックは常に「人」だと言うことを知らないようです。人がいなければ店のシャッター一つ開けられないのが店舗ビジネスです。まして高級店の場合、料理と同じくらいにスタッフの意識やマナーの教育がとても重要です。

堀江氏も質問者も「投資家と質問者」の関係だけ見て「質問者とスタッフ」の関係の重大性には気づいてもいないかもしれません。

もし「カネを沢山払えば優秀な人材が集まるから大丈夫」と思っているなら、それは思い上がりと言うものです。その店のステータスや働く人間のプライド、寿司への誇りと愛着が高い次元で結実している必要があります。高級店には高級店の「空気感」というものがちゃんとあり、セレブはその空気を感じることで店を評価します。

そんな演出ってその業界のハイクラスか、または経験豊富なフードビジネスコンサルタントの仕事じゃないですか?

堀江氏も「半年で寿司職人になれる」とは言っていない。

動画の中で堀江氏はすしアカデミーに対して

「寿司職人というか、ただにぎりならにぎりを教えるだけ」と言っています。

ちゃんと分かってるんです彼は。

今回の答えも「ビジネスとしてカネを生み出す」という彼自身の嗅覚の披露をしているだけ。

「トライすればいーんじゃね?少しはカネになるんじゃね?あやしくなったら辞めればいーんじゃね?」ということ。

もうちょっといえば

「人生かけるほどのことじゃないけどさ」ということ。

この辺りの温度感が分かっている人なら、この動画もニヤニヤしながら見てられるんでしょう。でもいい方にいい方にと思考が行っちゃって、人生かけて本当に会社辞めてすしアカデミーに入っちゃうとなると危ないですよ。というのが私が言いたいこと。

そうなっても堀江氏なら

「そんなの俺にカンケ―ねーじゃん」で終わらせるでしょうね。

まぁ確かにその通りです。受け取る人の判断次第ですからあとは自己責任で。ひょっとしたら「大当たり」も可能性はなくはないですね。

ではこのへんで。