鮨武は江戸前鮨店か!?
結論から言うと・・・
「わかりません!!」
江戸前の定義が曖昧なので判定出来ない、わけです。
江戸前ってなんでしょう?
古くは江戸城築城のころ(1500年代)
工事に携わっている人の腹ごしらえ用に
江戸城の南側(海側)に屋台などが沢山出ていました。
埋め立てが進んだ近代と違い、当時江戸城は海の間近に建っていたんですね。
今の東京駅辺りまで海だったといいます。
食事はこの海からアサリやシジミ、エビや小魚を獲ってきて
これを煮たり焼いたりして職人たちに提供していました。
これがまた旨い。
「江戸城の目の前の海で獲れる海の幸は旨いぞ」
「江戸城前の海の幸は旨いぞ」
「江戸前は旨いぞ」
こうして江戸前という言葉が誕生したという話を読んだことがあります。
将軍のおひざ元、という畏敬の念も含まれていたかもしれません。
できた江戸前ブランドと1800年代以降盛んになったにぎり鮨が合体して
「江戸前鮨」の呼称が誕生したのでしょう。
それはわかる。
では現代の江戸前鮨ってなんでしょう?
東京湾で獲れた魚だけで鮨屋をやるのはムリですね。
ならば江戸前の言葉は消滅してもいいけどそうはならず
むしろある種特別感をもって使われているような気がします。
江戸前鮨とはなんでしょうか?
「生の魚を使わないですべて仕事をしてあるのが江戸前だよ。」
そんな風に言う人がいます。
小野次郎さんは
「酢締めのアジと生のアジ、軍配は生に挙がります。私は締めません。」と言っています。
「すきやばし次郎」は江戸前ではないのでしょうか。。?
それにすべて仕事をするなら、イカやホタテも煮てから使うことになりますね。
これ、現代ではたぶん売れません(汗
「関西の押し寿司に対して握って出すスタイルを江戸前というんだよ。」
なるほど、握ってあれば江戸前ねぇ…。
アボカドなんかでも握ってあれば江戸前なのか…(滝汗
「カウンターで握って職人が刷毛で醤油を塗って出すのが江戸前だ。」
それなら世界中どこでも江戸前鮨が提供できます(涙目
「コハダとハマグリを置いてるのが江戸前だよ!」
いまや冷凍でいくらでも手に入りますが…(号泣)
どうも腹落ちしないですね。
私の個人的な感覚では
①まだ活きてる海老やタコのように「鮮度」を愛でるだけではなく、それに仕事を加えて味を引きだすことに価値を置くスタイルであること。全ての魚を加工してなくてもよい(我ながら勝手な解釈だなぁ)
②厚焼きでも薄焼きでもいいのでシバエビを摺り込んである玉子焼きを置いていること。
③コハダと蛤があること。
④シャリに砂糖を使わず、そのかわり煮物は甘みが強めに仕上がっていること
この辺りが江戸前の規格かなぁと思うわけです。(←まさに鮨武がコレです。ふふふ。)
逆にイカやホタテやシャコも甘めに煮てあり、キスやサヨリも酢締めで使っていたら
確かに伝統的ではあるけど、それはもう独りよがりの江戸前フリークであり、ほとんど趣味の世界かなと思ってしまいますね。
でもこれ、あくまで私の個人的な感覚です。
世間で江戸前がどう理解されているかはとっても油断がならないです。
で、困ってしまうのです。
鮨武の扉をガラッと開けて開口一番こう言われるお客様がたまにいます。
「おたくは江戸前なの?」
自分では江戸前だと思っていますので「はい」と答えます。
でもその方が
「鮨武はマグロもウニも車海老もイクラもすべて東京湾で獲れた魚を使ってるんだ!!」
と解釈してしまっていたら…。
怖いですねぇ…。
この質問、今でも答えるのに間が開いてしまうことがあります。
だれか江戸前の定義を決めてくれないかしら。。
代々木上原 鮨武への地図はこちら↓
渋谷区西原3-23-1
080-6562-2084
営業時間18~23時
カード…アメックス、ビザ、マスター
ご予算の目安
15,000円(飲み物、消費税込み)
カウンターのみ8席、全席禁煙