海苔(のり)
鮨屋では「くさ」と言ったりします。最近はあまり聞かなくなりましたが。
いきなりですが私はそば屋で「ざる」より「もり」をよく注文します。
理由は海苔があると食べづらいのと、乗ってくる海苔が美味しくないことが多いからです。
「なんでわざわざ自分のそばを落とすような海苔を使うんだろう…」そう感じることが多くなるにつれ、段々と「ざる」を注文しなくなりました。
鮨屋もたまにありますね。海苔が残念なお店。
酸化しかけていたり(鮮度低下)一度湿気たのりを焼きなおして出したり(一度でも湿気ると海苔は味が変わるのです。)
旨い海苔を使う気が無いのか、ただ無頓着なのか・・・。残念なことです。
😆 海苔は天然由来の作物
漁師さんが丹精込めて作ってはいますが、海苔は自然の力で育つものです。
海が舞台です。
海苔棚をつくって育てますが、陸上の農業のように堆肥したりビニールシートで覆ったりなどの策は殆どありません。自然の影響を強く受けて育つのが海苔なのです。
不作であったり、質が良くなかったりと、毎年違うのが普通です。
だから「〇〇海苔店の〇円の海苔なら大丈夫」ということは残念ですがありません。
ですから早春の新海苔の季節になると海苔屋さんとあーでもないこーでもないと相談して使う海苔を確認していきます。
海苔の味はキメの細かさ(口どけ)、香り、味の三要素で決まります。
よく「いい海苔はパリっとしている」と言いますがそれはちょっと別の問題です。
いい海苔でも保管がわるければパリッとはしません。今一の海苔でもしっかり保管してあればパリっとします。
また、「保管容器から出したてのパリッとしてる時にはいいけどおにぎりなどにすると噛みきれなくなるタイプ」(コンビニのおにぎりなど)
や、はじめはゴワゴワして噛みきれないけど、巻物にして3時間くらいするとしっとりと柔らかくなるタイプなど、その海苔によって特性があったりもします。
私は有明海の湾奥、川副(かわぞえ)地区 の海苔を好んで使います。場所は下の地図の右側、横長の楕円の当りです。
しっかりと濃厚な味わいがあり、そのくせ口の中であっさりと溶けてなくなり、後口にいい香りが残る、素晴らしい海苔です。
鮨武が使っている南川副はちょうど楕円の右側です。川が流れ込んでいるのがわかりますか。筑後川です。
栄養豊富な干潟、潮の干満がしっかりあることなどがいい海苔を作る土台です。(水門閉鎖で物議を醸した諫早湾の場所も赤丸で示しておきました。)
😆 丸友海苔店さん
海苔を出していただいているのは船橋にある「丸友海苔店」さん。ホームページをよく見るとあの有名鮨店さんもこちらで海苔を仕入れているのがわかります。
丸友海苔店さんとは、銀座の「助六」さんのご主人に間を取り持っていただきました。ありがとうございます。
身もふたもない言い方ですが、いい海苔は高いです。
そしてスーパーやデパートでもなかなか手に入りません。
でもいい海苔を口にしたときのあの幸せな感覚・・・あれはやめられません。