北海道最後の日 またまた港へ「日高中央漁協」
2024年7月22日 北海道上陸7日目最終日
昨日立ち寄ったお鮨屋さんで「見学なら日高中央漁協がいいかな」と伺ったのでさっそく行くことに。
優駿ヴィレッジ・アエルから15分ほどで到着、漁協事務所で見学の許可をいただいて荷捌場に入りました。
荷捌場では定置網から魚を引き揚げて戻ってくる船の受け入れ準備中でした。沖と連絡をとって魚の量を把握し、必要な量の氷や大型のコンテナボックスを準備しています。アナウンスで「5トン追加」と聞こえました。大漁なのかな。
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水と氷の量を一定にすることで、魚を入れてコンテナごと秤に乗せれば魚だけの重さが分かります。
定置網船の帰りを待っていると近くで作業している漁師さんに佐々木君が話しかけています。
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漁師さんのお名前は高田敬太さん、大型漁船「高漁丸」の船長さんです。明朝キンキの刺し網漁に出港するためにエンジンを点検する船の横でいろいろと教えていただきました。
言わずと知れた高級魚のキンキ(正式にはキチジ)、通常は箱もの(発砲箱に氷と共に並べられて流通する形態の呼び名、これに対して活かして流通するものは「活け物」と呼びます)として豊洲に入荷しますが
「北海道のキンキが豊洲に活けで入ることがあって、何度か買ったことがあります」と伝えると
「あ、それ出したのオレ!北海道でキンキを活けで出したのオレだけだもん」
活けのキンキなんて通常「ほとんど無い」と言っていいくらいの希少品。それを出した漁師さんと買った私がここで出会えるという偶然!思わず笑顔で顔を見合わせました(笑)
高田船長からは最近の漁の傾向や、とれる魚の変化、特に日ロ鮭鱒協定の影響をもろに食らう漁師の切なさなど、現場ならではの情報をたくさん教えていただきました。漁師さんてほんと大変です。船の操舵室まで案内してくれて感激しました。
ありがとうございました。
定置網船が戻ってきた 鰤17t!
高田船長にお話を伺っていると定置網船が戻ってきました。甲板にクレーンを配した大型船は難なく岸壁に繋がれ、10名ほどの漁師さんが忙しく水揚げ作業を開始します。高田船長が作業の責任者の方に我々を引き合わせてくれました。
本日の水揚げはブリ17t!今期最高の捕れ高だそうです。
船からクレーンで荷捌台に下ろし、大きさや傷の有無で各コンテナ箱に仕分けます。コンテナがいっぱいになるとフォークで計量に運び、新たなコンテナをセットする。この作業が延々1時間以上続きました。
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よく見るとエラを切って脱血しあるブリが少しだけ、別に分けてありました。聞くと「こうした方が少しだけ高く売れるんだけど量が多いからとても全部はできないんだよね。」とのこと。
高く売れるってどれくらいなんだろう?
思い切って浜値を聞いたとき、あまりの安さに私と佐々木君声をそろえて
「ウィェーーー!!!」
話の流れで僕らが豊洲で買う体大の値段を言ったところ、今度は皆さん声をそろえて
「オウエエェェェーーーーー!!」
皆さん笑っちゃってました。いや、泣いてたかも。
「誰が儲けてるんだ?」と漁師さんの一人が笑いながら、吐き捨てるように、同感です。
いや、商売だから儲けてもいいけど現場の漁師さんにもうちょっと還元されるべきなんだと思いました。
魚の流通は全体像が見えづらく分からないことが多いです。
今日のブリは全量札幌の市場に行くとのことだけど、そこで札幌の消費者に全て売られるわけではなく、次の業者、次の地方市場にと細かく枝分かれして、そのたびに価格が上乗せされて行くわけです。
その枝分かれした先の業者が買い付ける金額の何パーセントかを漁業者が直接受け取ることはできないのか。
「ネットを上手く使って浜値もオークションにしたらどうなんだろう?」
と思ったけど、それだと売れなかったら漁師さんの身入りはゼロだし17トンものブリを漁師さんが個別に発送するなんて不可能に近い。
「安いけど全量必ず買い上げてくれる」今のシステムは悪いことばかりじゃないのか。
それにしてもなぜ「一本売ってくださいm(__)m」と、自分宛てにクール宅急便しなかったのか
ダメでも聞いてみるだけはしなかったのか。。。せっかく現場にいたのに!!
あの脱血したブリ、食べてみたかった。こう言うところがダメだなオレ。
後日、奥田副組合長(中央グリーンのポロシャツの方)にお礼のラインをしたら「もう少ししたらもっと脂が乗ってきますから送りますよ」と嬉しいお返事をいただきました。
楽しみです。
日高中央漁協の皆さん、ピカピカのブリと皆さんの働きブリと益荒男ブリ、良いもの見せていただきました、ありがとうございました。
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苫小牧フェリー埠頭へ
さあ後は苫小牧のフェリー埠頭へ進むだけです。北海道を走るのも余すところあと130㎞ほど、ここまでアッという間に来てしまいました。
名残惜しいので途中途中で理由をつけては寄り道してみます
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気が付くと疲れていた。
苫小牧の街に入ると急に車の量が増えます。道は片側4車線、半分以上を埋め尽くす大型トラックやトレーラーが大地を揺らしながら突き進んでいました。15分も走ると白鳥で有名なウトナイ湖、その向こうには原始の森が広がっているのがちょっと信じがたいような景色の豹変ぶりに戸惑います。
悠然と奥行きのある景色に慣れ切っていた我々は四方をトラックに囲まれて冷や冷やしながら苫小牧港に滑り込んだのでした。
乗船のチェックインを済ませ、出発ロビーでお土産やフェリーの中で食べるつまみを調達しながら乗船を待ちます。
思えばあっという間でした。あっという間なのに、函館に上陸したのが遠い昔のようにも思う不思議な感覚。ふと気づけば何となく疲れを感じて身体がずっしりと重たい。
この一週間毎日4時起き、連日の猛暑、ずっと炎天下のツーリング、楽しすぎて気付かなかったけどそりゃバテるよな。
さらば北海道、また来年
2024年7月22日18時45分、フェリーは茨城県大洗港に向けて定刻に出港しました。館内のアナウンスでは「穏やかな航海が予想されます」とのこと。このツーリング、途中一瞬雨に降られた以外は全行程にわたって本当に好天に恵まれました。
出港はちょうど夕暮れ時、窓の外は港に沈む夕日。
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あなたが船をえらんだのは私への思いやりだったのでしょうか/別れのテープは切れるものだと、何故、気づかなかったのでしょうか/港に沈む夕陽がとてもきれいですね/あなたを乗せた船が小さくなってゆく イルカ 『海岸通り』
悲しみに立ち尽くす女性の姿はどこにも見えず、船の中でおっさん二人が烏賊めしを奪い合ってカップ酒を食らうの図
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これができるのがフェリーの良い所ですね。あり余る思い出話で時間を忘れついつい飲みすぎてしまいましたが、明日は午後2時まで館内で過ごすしかないので何も心配ありません(笑)
最後は力尽きたようにそれぞれの寝床へ、あっという間に深い深い眠りにおちました。できれば「旅の総集編」のような夢でも見られたら良かったけどなぁ。。。
そして翌朝。
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ほとんど揺れを感じずぐっすりと眠り、目が覚めたら4時半だったので甲板に上ってみると丁度太陽が上がってくる時間でした。船は進行方向右手に陸地を見ながら滑るように進んでゆきます。風の音と船が波を切る散るシャーという音だけが強弱を繰り返して聞こえています。
明日からは仕事に、日常に戻ります。
鮨武のお客様に、スタッフに、家族に、お土産品とお土産話を沢山仕入れてきました。
この一週間の出来事を皆さんにお伝えするのが楽しみです。
刻々と光の強度を増す太陽を見ながら頭の中は少しづつ仕事の段取りを組み立て始めていました。
ありがとう北海道、お世話になった皆さま、今回もサンキュー佐々木君!
来年は今回行けなかった道東、行こう。
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