「このタイはナニダイ?」

と聞かれたことが何度かあります。

「はい、真鯛です」とフツウにお応えしますが何となく座りがわるい。

何故か。

鮨屋で「鯛です」と出されてそれが真鯛以外の魚だとサギに近いです。

「鯛です」と発して出したらそれは真鯛でなければなりません。

いえね、そんな決まりや法律はないんですよ。

でもそういうモンなんです。

これを常識とよびます。

なのでヒメコダイを「鯛です」と言ってお出しして

「真鯛じゃないでしょ?」とお客様に言われて

「タイはタイじゃねーか」ってタンカ切るのは屁理屈、非常識となるわけです。

まぁきちんとした鮨屋ではよほどのことがなければ無い会話です。

せいぜい鯛狙いで釣りをしていてネンブツダイが釣れちゃったときの仲間内のやり合い程度です。

こういうのは大好き💛

「さすが!いいタイ釣るね~」

「おだまり!」

魚の王様「マダイ」

昔から真鯛はその味の良さや魚体の美しさから「魚の王様」と言われてきました。

「意義あり」

はい、認めます。

その判断は人それぞれ、でもそう云われて来たんだからしょうがないでしょ。

で、タイとつく他の魚たちは何なんだといえば、王様たる真鯛の御威光に

「あやかりタイ」魚たちなんですね。

「卑屈なやつらだ」なんて言っちゃだめですよ。

人間が勝手に命名しただけで当人たちは自分に名前があることすら分かってないっての。

明石の鯛

真鯛の本場といえば明石海峡。

明石・神戸市と淡路島に挟まれて潮が強烈に早く

エサも豊富なこの海域で獲れる真鯛は昔から全国にその名を轟かせてきました。

「意義あり!」

わかったっての、少しだまってなさいよ。

東京で質のいい明石鯛を手に入れるのは中々に稀有なことですが

豊洲で上手く出会えたときは迷わず仕入れてお客様に提供しています。

「浮き鯛よりもこちゃ沈みたい」

で、この明石の鯛。

その昔、早い流れに鯛が海面に押し上げられ、浮袋の調節機能が失われてぷかぷか浮いてしまう

「浮き鯛」という現象が度々見られたんだそう。

その理由を地元の人は

「以前この付近で沈んだ船に積んでた酒樽がまだ下にあって、魚がそれを飲んで酔っぱらって浮き上がったんじゃないかしらん」

と噂してたんだそうですね。

それを聞いた江戸時代の歌人が

『この下に酒樽ありときくからに 
浮き鯛よりはこちゃ沈みたい』

茶山

いいですね。

この浮き鯛現象、残念ながら魚の減少などで今は見られなくなって久しいそうです。

さてと、今回はこの辺で。

今夜は旨いタイで一杯…。