「鮨」は夏の季語
なんとなくですが魚って冬が美味しい気がしますよね。
身の締まった平目の刺身と辛口の日本酒…クゥ~。
ぐつぐつ煮えたアンコウ鍋に熱かんで一杯…キャー。
そんなイメージから魚というと冬が連想されるのかもしれません。
逆に夏場の「キンキンに冷えた生ビール」と来るとなんか唐揚げとか枝豆とか魚とは違うつまみが頭に浮かびます。アタシだけかな。
なので魚料理の代表格である鮨も冬が主戦場だと思っている方も多いかと思います。
違うんですよ、鮨の季節は夏。
俳句の世界でも鮨と言えば夏を表すことになってるんです。アタシはやりませんけどもね俳句。
鮨は夏の物。
冬には魚があまり獲れなかった
それは鮨が生まれた時代を考えると容易に想像がつきます。
にぎり鮨が生まれた江戸時代の魚事情を考えてみましょう。
にぎり鮨が生まれたのは江戸時代の後半(1800年代の中頃)。
この時代すでに大型の網や延縄などで効率よく魚を捕る技術は確立されていましたが、今のように年中魚を大量に水揚げすることはなかっただろうと思われます。
理由は船の能力や道具に加え、魚の習性です。
木造の和船には魚探もソナーもエンジンもありません。魚を集める集魚灯はせいぜい松明くらい。
今とは漁船の能力が全く違っていたわけです。
一方で魚は春から秋口にかけて比較的浅い海域に群れでやってくるから当時の船でもある程度漁獲を稼げたけど
水温の下がる冬は深場に落ちるのでその頃の技術では中々捕まえられない。
夏の海辺に沢山いる小魚やカニくんは、冬には全く姿を消すでしょ。
水温が下がる冬場、浅い海では生き物は極端に減るんです。
現代では電子機器を使って深場にいる魚の群れを見つけ、パワフルなエンジンで船を走らせて群れを囲いながら網を落とし…ってこともできるけど当時はそうはいかなかった。
市場に出回る魚の量は季節によって大きく違っていただろうと思われます。
魚を多く使う鮨が夏のものと定義されるのも分かりますね。
現代でも同じなんだな
で、現代の鮨屋。
夏場の方が魚の種類が多いのは現代でも同じです。
元々アタシが夏が好きなのもあるけど、梅雨のこの時期から秋口にかけてが鮨屋やってて一番楽しい季節ですな。
写真のキスも夏の物だし、そういえば夏の鮨の代表格、シンコの初物も先日出ましたよ、なんとキロ40万円!!
背中が寒くなる値段をつけてました。
夏なのにね~。