大間に行きたいと思っていた
2016年9月12日 大間・気仙沼ツーリング1日目
青森県下北半島の先端で、本州最北の地「大間崎」、言わずと知れた超一級本鮪の産地です。
津軽海峡の本鮪は大間の他にも津軽半島の三厩(みんまや)や竜飛、北海道の戸井や松前などでも水揚げされ、実は大間だけが一流で三厩や戸井の鮪が質が堕ちるかというとそんなことはありません。
それでもこの「大間」という言葉には、どこか特別なものを感じずにはいられません。
本州最北端、荒れる冬の津軽海峡、極端に悪いアクセス、そして海のダイヤとも称される国産本鮪をたった一人で釣りあげる漁師たち。食べたお客様から思わず感嘆の唸りが漏れるあの大間の本鮪の聖地に、ずっと行ってみたいと思ってきました。
津軽海峡にマグロがくるのは夏から冬
大間の本鮪の漁期は7月から12月の半年間。
「せっかく行くなら、できればマグロの水揚げ風景を見てみたい。」
7、8月はまだ水揚は少なく、10月以降は時間帯や標高によって凍結の心配も出てきます。バイクで行くなら9月しかありません。今回、中学からの後輩で友人、飲み・ツーリング・釣り仲間で、おまけに鮨武常連の佐々木くんと話しが進み、ついに
「バイクで大間に行く、期間は2泊3日」
という少々無鉄砲な計画が実行されることになりました。
旅の目的は3つ
①電車や飛行機を使わずバイクで本州最北端に到達する(ライダー?として)
②鮨武でお世話になっている超A級マグロの産地を表敬訪問する(鮨屋として)
③東日本大震災の復興を感じとり、同時に国産赤貝の一級産地「閖上」を見学する(日本人の鮨屋として)
なので、この記事は単にツーリングの記録にとどまらず、マグロや水産環境
東日本大震災の爪痕やその復興へも話が飛びます。
時に焦点が分かりづらいと思われるかもしれません、あしからずご笑覧ください。
計画は中々よかった
今回まず目指すのは本州最北端の町、大間町。青森県には二つの大きな半島があります。ひとつは地図左側にある津軽半島で、その先端が竜飛崎(一番左の赤丸)。もう一つが下北半島。「斧」の形をしていて、柄の部分の先端にあたるのが尻屋埼(しりやざき、右の赤丸)、刃の先端にあたるところが今回の目的地、大間崎(真ん中の赤丸)です。
本当は3か所行ってみたかったけど、2泊3日というかなりタイトなスケジュールなので、津軽半島は断念、初日は下北半島の尻屋崎を経由して大間へ到達、翌日鮪の水揚げを見学してから宮城県気仙沼に回ってカツオの水揚げを見、3日目に帰還と、大まかに計画しました。
時間 | 出発地 | 時間 | 到着地 | 走行距離 | |
初日 | 4:00 | 東北道蓮田PA | 17:00 | 大間崎 | 約850㎞ |
2日目 | 10:00 | 大間 | 18:00 | 気仙沼 | 約400㎞ |
3日目 | 7:00 | 気仙沼 | 16:00 | 蓮田PA解散 | 約550㎞ |
初日が13時間850㎞と長いですが、宿に着いたら温泉入って早目に就寝すればあとの二日は400~550㎞を休憩、見学しながらのんびり走るだけ。二人の体力を考えれば『ムリの無い、いいツーリングになる』はずでした。
これがあんな嬉しいハプニングで計画変更になるとは思っていませんでした。
初日
250㏄のスクーターがとっても楽でいい!
バイクは250ccのホンダ製スクーター。いわゆるビッグスクーターです。佐々木くんも偶然同じバイク。本格派バイク乗りの皆さんはスクーターをバイクと呼ぶことを嫌がる人もいるようですが、一般人から見ればどちらもバイク、なのでここでは一貫してバイクと呼ばせてもらいますね。
で、バイク。
毎日仕入れで使ってます。オートマだから楽ちん、シートがデカいので疲れが少なく、100㎞巡航で手も全くしびれません。車検なし、当日はシート下に着替えや予備の防寒具、キャリアケースには地図などすぐに出せるもの。ハンドル下にも収納があってここにはハンドタオルやガム。リアシートには何でも入れられる発砲スチロールの箱(お土産満載用)を積んでまだ余裕あり、つまり積載は無限(笑)
雨予報だけど漁師仕様のカッパと長靴で防水も完璧です。
2015年9月12日3:00am、自宅を出発です。
奥さんと娘(10才)が起きてきて「気をつけてね~」と見送ってくれました。ありがとね。事故なく帰ってくるから。自宅からすぐの首都高に入り、まずは待ち合わせの東北道蓮田SAを目指します。
距離は約40㎞、250ccの単気筒なので高速道路では100~110の間が快適速度。追尾やバイク用オービスを気にしなくてすむ速度です。首都高を抜けて蓮田までは30分程度で到着、すでに佐々木くんのバイクもあります。この人ほんと朝が早く、ぜったいに遅刻しません。
はやる気持ちを抑えてコーヒーを飲み、地図をみながら休憩と給油のタイミングを再確認しました。
ルールを「疲れてなくても1時間(約100㎞)を過ぎたら次のSAに入る」と取り決めしました。
楽だとはいってもバイクはバイク、ずっと同じ姿勢でいると知らず知らずのうちに疲れが溜まって思考も雑になり、思わぬ事故に繋がりかねません。時間は予定通り4:00am、安全第一を確認してさあ出発です。
二人とも雨具は漁師仕様
佐々木くんも私も釣りをするのでカッパと長靴は頑丈なのをもってます。雨の高速走行でも全く濡れず、無風の東北道は快適そのもの。徐々に明るくなる視界にテンションも上がりっぱなし。
ヘルメットのなかで小林旭の「北へ」を大音量で一人カラオケ
(おーれーはあーすーもまた~キターへながーれー~る♪ヒャッホー)
休憩とストレッチ、給油、朝食、昼食と摂りながら順調に北上し、14時に八戸に到達、ここからは下道になりました。
八戸までおよそ650㎞、10時間。歌える歌はほぼ歌いつくし、気付けば声はガラガラ。バイクよりもそっちで消耗したんじゃないかしらと思うくらい疲れも自覚してきたけど、まだあと200㎞ほどあり、しかも下道。がんばって前進します。
下北半島突入!
第一目的地の尻屋崎まであと約130㎞。初日で一番きつかったのがこの区間。信号が少ないとはいえ、下道を130㎞も移動したのは初めてでした。疲れる疲れる。
尻屋埼から大間までの海岸線を明るいうちに走りたいから少し焦ってました。ほぼ休憩なし、ガソリン入れてコンビニでお金おろしたくらい。良くないですね反省。
尻屋埼到着! 16:00
結構疲れたけどテンションはマックス!!
二人とも「先っちょ」とか「最果て」が好きなので結構テンション上がりました。夕暮れが近づいていて気温が低く、風がビュービュー吹いてるのも『津軽海峡来たぜー』って感じでよかったですよ。
いざ!大間へ のこり70㎞!!
日没まであまり時間がないので記念撮影したら早速出発です。
そうはさせじと寒立馬が〇ンコも使って妨害してきましたが華麗にかわして前進です。
いよいよ初日のクライマックス、もうここまでくれば疲れなんて感じません。手つかずの原野や津軽海峡の景色を楽しみながらのんびり走りました。
海原の先にかすかに北海道が見えています。空は相変わらずどんより曇っていましたが気分は最高潮。途中立ち寄ってみた風間浦の船揚場には小さいながらつぶ貝がゴロゴロと。風間浦は大ぶりの高級紫ウニの産地です。いつかウニの漁も見てみたいなあ。
そしてついに大間に到着 17:45pm
自宅からひた走ること850㎞。青森県下北郡大間町、本州の最北端についに到着しました!!!
いやーよく頑張りました。笑ってはいてもさすがに疲れてます。そりゃそうだよね、朝3時からここまで15時間。2人でガッチリ握手して、さあ温泉でも入って美味しい魚たべて夜9時には寝て翌日に備えるはずでした…。
次に続きます→国産本鮪の聖地、大間崎にバイクで行ってきました②