『銀聖』は北海道日高地方で捕れた鮭の中で特に優れた個体に与えられる称号のことです

日高地方とは苫小牧東方の日高町から襟裳町にかけての呼び名です。日高山脈に因んだ呼称なので北海道の方には「日高は山の中」のイメージが強いんだそうです。

鮨屋としては「日高の海」のイメージで上の図の赤丸がそれにあたります。2024年7月、日高の浦河町にある漁港をバイクで訪ね、日高中央漁協の奥田さんと知り合いました。

日高中央漁協副組合長の奥田宗一郎さん左

以来、良い魚が揚がると連絡を頂けるようになり、今回王様と言われる特別な鮭を送っていただきました。ありがとうございます。

『銀聖』はトップ5%の特別な存在

日高の秋鮭の王様と言われる鮭のブランド名を『銀聖』といいます。産卵のために故郷の川に戻ってきた白鮭で、その中でも群を抜いて優れたものにその名が与えられます。

ブランド魚『銀聖』は簡単に名乗ることはできません。

まず、その魚が「銀聖」かどうか認定できるのは銀聖指定取り扱い漁業者のみです。産卵のために戻ってくる鮭は大体2㎏代なのですが、その中で特に大型(3.5㎏以上)で魚体が美しく、血抜きなどの鮮度維持の操作が適切に行われていなければ『銀聖』のタグは貰えません。

つまり、「銀聖」のタグが付いていれば確実に『上物』というわけ。

なので今回送っていただいた鮭がモノが良いのは分かっていたけど、それにしても抜群でした。魚体の重さは基準を大きく超える4.3㎏。通常抱卵した鮭は身の色がくすんで、どこか力感がない印象ですが、この魚は魚体の張りが素晴らしく身の色艶もイイ。イクラは粒が大きく、うっすら白濁していて味の良さを主張しています。

雄の銀聖も楽しみです

奥田さんにお礼のメッセージを送り、同時に「今度は雄も」とお願いしてみました。

奥田さんからはこれまでに鰤やまつかわ鰈、平目など、船から水揚げ時に「お!」と思うものがあると取っておいてすぐにクール便で送っていただいています。

目利きの精度はさすがで、まず外しません。

リクエストした「雄の銀聖」も、とても希少なものなので水揚げがあるかは運しだいですがワクワクしながら待ってみたいと思います。

旅のご縁に感謝

それにしてもこの夏にアポなしで訪れた魚港で、このようなご縁が生まれたことに本当に心から感謝したいです。

定置網船の水揚げは魚の全体量が多くかなりのスピードでやらないと終わりません。

何人ものベテランの漁師が連携して作業を進めていきます。その中で1尾や2尾の魚を別に取り分けておくのは簡単なことではないです。夏に作業の様子をじっくり見学させてもらった経験上、それは容易に想像できます。

本当にありがとうございます。お手数をおかけしますが、出来うるなら今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

最後にお手紙のようになってしまいました。ではまた。

抜群のチームワークの浦河漁港の皆さん(2024年7月撮影)